Switch本体を初期化するのが条件の新しいルート?Network System Clock Abuseとは?

前書き

 都市の国は早く取れるムーンが多く、よくルート研究の対象になっていた。なんだかんだ新ルートは見つからず1年以上現ルートのままで、没案が一番多い国。

しかし、遂に新しいルートが見つかったのだ!

2020年5月に都市の国のルート案が見つかり、早い事が分かった。ルート改善と最適化は11月まで続き、今の完全体に至る。久しぶりの新ルートでオデッセイ界隈は盛り上がっていた。

しかし、そのルートを使用するにはとんでもない下準備が必要であった・・・今回はその下準備を紹介しよう。

 

なぜ下準備が必要なのか?

このルートは種のムーンを必要となるルートだからである。

種のムーンは本来21分経たないと花は咲かず、21分経つまでムーンは取れない状態になっている。Switch内のローカルタイマーをいじれば20秒ほどで咲かせる事も可能だがこれでは遅かった。

速攻で咲かせる方法としてサマータイムトリックという物があるが、このトリックはRTA中に一回しか使用出来なくて、その一回は砂の国で使われている為使えなかった。速攻で種が咲けば早いという事は分かっていたが、早く咲かせる方法が無かった為、このルート更新案も他と同じ様にボツ案となって埋まってしまっていた。

しかし、2020年7月、転機が起こる
オデッセイ界隈と関係無い一般ユーザーがNetwork System Clockを悪用して急激に時間を進めれる事が発表されていた。これを利用すればこのルートが早くなるとオデッセイ界隈で反響を呼んだ。

その発表自体は2020年3月にされていて、4ヶ月ほどオデッセイプレイヤーに発見されていなかったようだ。
Network System Clockを利用するとはどういう事なのか、説明しよう。

 サマータイムトリックとは?
サマータイム制度をご存知でしょうか?カナダなどで太陽が出ている時間を有効利用する為に標準時間を1時間進める制度。

その制度がSwitch内時計にも搭載されており、通常は1時→2時となると思いますが、サマータイム期間中は1時→3時になり、ゲーム側は1時間進んだと錯覚する為、速攻に種を咲くというトリック。

RTAで使うにはタイマースタート前に決められた日時に設定する事でサマータイムが成立する。

Network System Clockを利用するとは?

Switchは2つの別々の時計が搭載されています。ユーザーが直接操作出来る物は、ローカルシステムクロック(以下ローカルクロック)と呼ばれています。ユーザーは設定でローカルクロックを好きなように編集する事が可能です。

そして、Switchにはネットワークシステムクロック(以下ネットクロック)と呼ばれる第2個目の時計も搭載されています。この時計は、現実時間を保管するのが役割で通常はユーザーが編集することはできません。

しかし、Switchが一度もインターネットに接続したことがない場合はネットクロックを動かす策があります。

つまり、Switch本体を初期化する必要があります。

初期化するとフェイルセーフの為にネットクロックとローカルクロックが一時的に一致します。一致している為ユーザーはネットクロックをローカルクロックと同じ様に時間編集する事が可能になる。

 フェイルセーフとは誤操作などした場合に、危ない方向にではなく、安全な方向に行くように設計する事である。
初期設定時は重要な設定が多い為フェイルセーフが置いてあるのだろう。
何故ネットクロックとローカルクロックが一時的に一致する事がフェイルセーフなのかは不明。 

ここで設定でネットクロックを動かした後に、インターネットを繋げるとネットクロックが現実時間に合わせてくれる為、急激に時間を進められるのであるが、RTA中にロス無くネットと接続方法がありませんでした。

ここで考えられた策として、クイックメニューで機内モードをONからOFFにすれば、実質ロスなくインターネットを接続と切断が出来るという物です。

クイックメニューはホームボタンを長押しすれば出るモードで、裏でゲーム動かしつつ機内モードをON OFFにする事が可能である。

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こんな感じにバックグラウンドで流れる

しかし、まだ問題があった。機内モードを解除しただけでSwitchがインターネットに接続するには、これまでにインターネットに接続しておく必要があります。初期化している為、これまでにネットは繋いでるはずがありません。

ネットクロックを機内モードで動かすにはRTAの途中で初めてSwitchにネットを接続しなければならず、Network System Clock Abuseの目的が達成されません。

ここで更なる策として、ルーターの設定でSwitchが通信するサーバーを一時的にブロックするという物です。

サーバーのホスト名は aauth-lp1.ndas.srv.nintendo.netで、ルーター側でサーバーブロック出来る機能が備わっている必要があります。
楽々サーバーをブロック出来るGoogle WIFIルーターが一番理想的である。
このサーバーをブロックした事によって、ネット接続した後でも、ネットクロックを編集する事が可能になります。

そして、Switchの機内モードをONして、ブロック中にやるべき事を終えたので、さっきブロックしたサーバーのブロックを解除し、サマータイムトリックの為にローカルクロックで時計を1:53にして、ネットクロックを発動させる為に「インターネット経由で時計を同期する」をONにして下準備は終了となります。

Network System Clock AbuseをRTAで使う場合の流れ早見表

Switchを初期化する。
      ↓
ルータの設定でサーバーホスト名aauthlp1.ndas.srv.nintendo.net をブロックします。(ネット使ってもネットクロックが編集出来る状況にする為に一時的ブロック)
      ↓
Switchをインターネットに接続する。
      ↓
マリオオデッセイのダウンロード版を購入。(ニンテンドーアカウントと連携すれば無料で何度でも購入可能)
      ↓
機内モードをONする。
      ↓
サーバーのブロックを解除する。(機内モードOFFでネットクロックを動かす為)
      ↓
ローカルクロックでサマータイムトリックの準備。
      ↓
「インターネット経由で時計を同期する」をONにする。
      ↓
   RTAを始める。
      ↓
都市の国の種ムーン植えた後に、ミニムービー中にクイックメニューで機内モードOFFにする。
      ↓
種ムーンが速攻で育つ。

新ルート紹介

詳しいルート内容はこちらの動画から(変わった部分は25:45~26:47)

旧ルートより最大4秒速くなるルートです。

旧ルートではスロットムーン取っていますが、このルートはそれを種ムーンに置き換えて、ムーンを取る順番も結構変わってます。
動き自体はあんまり難しくなく、簡単に安定する物であるが、一つとんでもない物が紛れ込んでいた。

壁抜けの採用である。

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壁抜け自体は地味だが、かなりシビアでセットアップありでも安定する人は絶対に現れないと思われる。
左から遠回りして壁抜けしない行き方あるが、こちらは1秒しか早くならなくなる。

 RTAで使用出来る?

今のままではRTAでは使えないと思われます。
まずリセットするたびに初期化と上記の下準備が必要な上に、マリオデのダウンロードも必要。色々質の良い物にしても15分ぐらいダウンロードに時間かかる。
また初期化する都合上Switch2台持ち、効率も求めるならGoogle WIFIも必要であり金銭面も中々かかる。
全部踏まえてリセットする度に20分以上かかる計算になる。
肝心なルートも壁抜けは使えないと仮定すると1秒しか早くなく、リスクリターンが一切合わない。

使われるとしたら、壁抜けが無くなり更に早くなるルートが見つかる事でしょうか。しかし、最初に話した通り半年ぐらいこのルートは改善を繰り返しており、更なる改善ルート見つかる望みは薄いと思われる。

上記の理由でRTAでは使われないと思われる。

 終わりに

今回は都市の新ルートをお見せするとともに、Network System Clock Abuseの詳しい内容などを紹介した。

残念ながらRTA採用は厳しいルートではあったが、Switchという最新機種故に色々な機能が備わっているだからこそ出来る所業だと言えた。
今回はオデッセイで紹介したが、どう森や、その他Switch内時計が関係あるRTAなどでも利用出来る可能性がある非常に面白いトリックだと思った。

記事を書くに至って、下記の記事を参考しました。海外のオデッセイスピードランWikiですが、非常分かりやすいと思った。興味がある人は他の記事のチェックする事をオススメする。